軽くあおいでも普通に風が来ます。
手首の負荷が軽いだけではなく、風力に連続性があって、
より涼しく感じます。
開発の経緯
きっかけ
大海原を休まずに泳ぎまわる回遊魚やクジラ。 平らな板を、ただあおぐように振るだけの推進力で、あの大きく太い図体を強力に前に押し出す。
マグロの巡行速度は80km/h、瞬間最大速度は110km/hと言われています。高速が出せなければ 、餌にも逃げられるし、敵にだって食われてしまっていたでしょうから、
シーラカンスから4億年の進化の結果が今の海だとすれば、現在生き残っている魚の形は、いわば高効率の一つの証明のはずです。
これを応用すれば、軽いうちわができるのではないか。卑弥呼の時代から、火をおこすたびに使っていたはずの“風おこし板”。
レッキとした流体力学、材料力学の範疇にあるのに、あまりに身近、手近であるために、語ることさえつまらなく思われて来たのかもしれません。
それに、力学の学術的な発達も最近の話ですから、これまで十分な解析成果が出ていなかったのは無理もありません。
工夫
そこで図鑑を片手に、居酒屋の水槽でアジの動きを追い、録画を解析し、いろいろな形を作って実験してみました。
その過程で到達した工学うちわがこれなのです。私たちは、静止している空気をゼロから加速し、縁(ふち)を離れる瞬間まで同じ加速度で押し続けるために、
“均一な「しなり」”の形成を目指しました。 すなわち
- うちわを片持ち梁(はり)に見立てて、骨の“しなり”を手元から先端まで均一に分布させます。
- 表にも裏にも、紙に替えて布をバイアス(斜め)方向に貼ることで、骨材との競り合いによる“しなり”の減衰を極力なくしました。 また、全体の外形についても、押し出し効率の劣る両端の無駄な部分を省きました。